ゲンゴロウ類 - 水辺の希少生物たち −タヌキモからゲンゴロウまで−

トダセスジゲンゴロウの論文・発表

昨年、トダセスジゲンゴロウについて、論文を出しましたが(トダセスジゲンゴロウの論文)、

引き続き、今年も論文を出しましたので、紹介いたします。

別刷りをご希望の方がいらっしゃいましたら、ご連絡下さい。


さやばね ニューシリーズ,1:8-11(2011),日本甲虫学会
「名古屋市における絶滅危惧種トダセスジゲンゴロウの確認事例と生息環境」 田島文忠・寺西司・長谷川道明

ホシザキグリーン財団研究報告,14:201-203(2011),ホシザキグリーン財団
「希少種トダセスジゲンゴロウの渇水時の確認事例」 田島 文忠



また、昨年秋には口頭発表をしています。
トダセスジゲンゴロウの生息環境について、水質などの環境調査を行ってきましたが、
それなりにまとまったかな?と思い、発表しました。
なんとか、論文化したいものです。


第1回 (新)日本甲虫学会大会 水生甲虫分科会
「トダセスジゲンゴロウ生息地における環境条件の検討 −河川敷の水生甲虫類との比較−」 田島文忠


要旨
 トダセスジゲンゴロウCopelatus nakamurai Gueorguiev,1970は,小型ゲンゴロウ類の一種で,環境省および県版RDBに記載されている希少種である.局地的な分布を示し,河川敷などの不安定な水たまりなどに生息している.

 生息環境については,植物によるカバーとリターの堆積が重要であり,撹乱直後の裸地環境は好まず,生息地周囲の植物が繁茂したような植生遷移が進行した環境を好むこと.他の競合種が入り込みにくい不安定な一時的止水域に複数個体が集中して生息している(田島・柳田,2010).

 本種の生息地における環境条件を詳細に検討するため,生息環境の物理的・化学的要因について,水質,照度,底質の分析,解析を行った.また,生息地および周辺の水域において確認された主な水生甲虫類を記録した.

 環境条件と生物群集との関係性をみるために多変量解析を行った結果,セスジゲンゴロウ属は他の水生甲虫類と比較して,照度の低い水域を選好すると考えられた.なかでも本種はきわめて照度との関係性が高いと考えられた.水域の安定性との関係については,不安定な水域には本種のほか,チビゲンゴロウ,ヒメガムシ,ゴマフガムシ属の選好性が高いと考えられた.水域が安定するにつれ中型ゲンゴロウ類,コガムシ,ヒラタガムシ属が選好することが考えられた.

 次に,セスジゲンゴロウ属における環境条件を比較したところ,セスジゲンゴロウ,ホソセスジゲンゴロウが広い選好性を持っていたのに対して,本種の環境条件はきわめて限定され,特異な環境条件を好むことが示唆された.

 以上から,本種は他の水生甲虫類だけでなく,セスジゲンゴロウやホソセスジゲンゴロウと比較しても生息適地がきわめて限られることが示唆された.このことから,本種の調査が困難になっているとともに,減少要因の一つとなっているのではないかと考えられた.

静岡で新種のゲンゴロウ発見

新種ゲンゴロウ発見!
榛原郡吉田町の吉田公園で新種のゲンゴロウが発見され、発見地にちなんで「ハイバラムカシゲンゴロウ」(ムカシゲンゴロウ属)と命名されました。京大大学院の加藤真教授らのチームが、大井川の伏流水をくみ上げた地下水の中で見つけたものです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100929-00000029-san-l22

詳細は論文になっています。
Kato, M., A. Kawakita and T. Kato (2010) Colonization to aquifers and adaptations to subterranean interstitial life by a water beetle clade (Noteridae) with description of a new Phreatodytes species. Zoological Science, 27: 717–722.

ちょっと前に、ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)が東京都内から絶滅したことが報道されてましたね。新しい発見がある一方で、人知れず消えていく生物がたくさんあるという現状を何とか改善していきたいものです。
やがては、われわれ人間にはねかえってきますよ。

図説日本のゲンゴロウ改訂版
日本のゲンゴロウ類を調べるには必携の1冊です。



トダセスジゲンゴロウの論文

DSCN4189.JPG トダセスジゲンゴロウ
トダセスジゲンゴロウCopelatus nakamurai Gueorguiev,1970は,小型ゲンゴロウ類の一種で,環境省および県版RDBに記載されている希少種です。東京都が原記載産地となっており、これまでに茨城県,栃木県,埼玉県,千葉県,愛知県,徳島県で生息が確認されています。このように局地的な分布を示しており、しかも河川敷の水たまりなどの極めて不安定な環境に生息しているため、生息環境や生活史についてはよく分かっていませんでした。
今回、2005年から本種の生息地調査を行ってきた結果を取りまとめました。
生息環境については、植物によるカバーとリターの堆積が重要であり、撹乱直後の裸地環境は好まず、生息地周囲の植物が繁茂したような植生遷移が進行した環境を好むことが分かりました。また、他の競合種が入り込みにくい不安定な一時的止水域に複数個体が集中して生息していました。

別刷りをご希望の方はご連絡下さい。


ホシザキグリーン財団研究報告,13:215-226(2010),ホシザキグリーン財団
「利根川中流域における希少種トダセスジゲンゴロウの生息環境と生活史」 田島 文忠・柳田 紀行



本論文の紹介を頂きました。励みになります。ありがとうございました。
(ぶろぐ → カテゴリー → 論文 にあります。)
おいかわ丸のくろむし屋
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トダセスジゲンゴロウの発表(日本昆虫学会関東支部大会)

12月に行われる昆虫学会関東支部大会にトダセスジゲンゴロウの発表で、昨年に引き続きエントリーしました。

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第43回 日本昆虫学会関東支部大会

日時 2006年12月2日(土) 12:55〜18:30
会場 東京農業大学農学部(厚木キャンパス) 講義棟1F 1103教室

絶滅危惧種トダセスジゲンゴロウ Copelatus nakamurai の生息環境

要旨
トダセスジゲンゴロウは、環境省をはじめ各県においてレッドデータブックに記載されている絶滅危惧種である。本種の生息環境は河川敷の水たまりなど、極めて不安定な環境に生息しており、生息環境や生活史について詳細な調査は行われていない状況にある。今回、本種の繁殖地を確認したことから、繁殖環境の一事例として報告する。

生息環境としては、河川敷内にある、ごく小さい水たまりで多くの成虫と幼虫が密集して生息している状況を確認した。植物由来の堆積物が豊富な浸水、渇水が激しい場所であり、生物相が非常に貧弱であった。

次に、繁殖に適した環境条件を検討し、生息地および周辺水域との関係性をみるため、水質分析を実施した。溶存塩類の成分組成から、生息地の水質は隣接河川とほぼ同一であり、河川からの伏流水、または被り水に由来すると考えられた。また、生息地の水質は硝酸性窒素が若干高く、人為的汚染の影響を受けている可能性が考えられた。
その結果、生息地の水質は生活排水や農業排水などの影響を受けていると考えられたが、そのような水質下でも繁殖を行うことが確認できた。

以上より、本種の繁殖にとって、植物由来の堆積物が豊富な、河川の伏流水などによる浸水、渇水が行われる不安定な水域であることが重要であり、ある程度は富栄養化にも対応できると考えられた。

                                以上



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